上智大学・多文化共生社会研究所主催
第1回成果報告会・公開シンポジウムを開催!

2022年04月18日
第1回成果報告会・公開シンポジウム チラシ

2022325日(金)、上智大学四ツ谷キャンパスにて、当社と上智大学の共同で設立された多文化共生社会研究所による、第1回成果報告会・公開シンポジウムが開催されました。

本事業は、「パラリンピックの開催と共生社会の実現」をテーマに開催され、会場にて約50名、オンラインにて約150名が参加しました。

公開シンポジウムでは当社 経営企画部スポーツ統括 倉田次長(現 広報部スポーツチーム兼経営企画部 特命部長)がモデレーターを務め、金杉社長(現 会長)が閉会の挨拶に登壇しました。

開会の挨拶にて上智大学 曄道佳明学長は、当社の後援に対する感謝を述べられた後「共生社会という言葉は、今や社会でも広く認知され、若い方々の中でも、共生社会の実現に向けた問題意識は高まっていると思います。しかしながら、共生社会が我々の目の前に大きく姿を現しているかというと、まだまだ道のりはあるという感覚を持たざるを得ません。ぜひ今日は、この共生社会の在りようについてパラリンピックを通じて今一度考え、東京大会後、我々は日本社会に何が残せるのかを、改めて皆さんと考えられればと思います。」とお話しされました。

1部の調査報告では、上智大学・多文化共生社会研究所所長の久田満教授より、「パラリンピックの開催が障がい者イメージに及ぼす影響」をテーマに、4000人を対象に行われた調査結果が報告されました。

 

 

上智大学 曄道佳明学長 挨拶の様子
多文化共生社会研究所所長 久田満教授 調査報告の様子

 

2部の公開シンポジウムでは、倉田次長がモデレーターを務め、シンポジストに日本財団パラスポーツサポートセンター 小倉和夫理事長、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会 大日方邦子理事、日本福祉大学スポーツ科学部学部長 藤田紀昭教授をお迎えし、調査報告に基づき意見が交わされました。

モデレーターの倉田次長より、分析結果から導かれた、①パラリンピックの関心度 ②パラスポーツを通じた教育 ③障がい者のイメージの尺度 の3つのテーマを示し、これに関して活発な討議が繰り広げられました。

シンポジウムの様子
モデレーターを務めた倉田次長

 

日本財団パラスポーツサポートセンター 小倉和夫理事長

パラリンピックの関心度について、調査結果によるとTVやインターネットでパラリンピックを観戦したかという問いに、「全く観なかった+ほとんど観なかった」という指標が60%超でした。

その改善策として小倉氏は「国際比較をしてみると、国によって関心のあるパラリンピック競技は違います。まずは国民が関心のある、ポプュラーな競技を入口にしてパラリンピック全体を盛り上げていく方法があると思います。もう一つは、色んな角度から関心を持つことです。企業であれば、障がい者雇用の観点やスポンサーの観点など、スポーツとしてだけでなく、一つのイベントとして様々な角度から入っていくことも必要だと思います。もう一つは学校教育です。現場の教師だけでなく、管理職の方々にどうやって障がいに関する教育や、パラスポーツ教育を取り入れてもらうよう努力していくか、またオリンピック教育とパラリンピック教育は同じではなく、別で行うべきだと思います。」と、考えを述べられました。

 

日本福祉大学スポーツ科学部 藤田紀昭学部長

また、藤田氏は考えられる要因として「オリンピック競技の陸上や水泳、バスケやバレーといった競技は、多くの人が学校教育の中でやったことがあり、関心を持つことができると思います。しかし、パラリンピック競技に関してはあまり皆さん経験したことがないと思います。その経験の違いが一つの考えられる要因かと思います。もう一つは、これまで障がいがある人に対する関心が低かったことも要因として考えられるのではないかと思います。今の小中学生は、オリパラ教育を受けている人が増えているので、今回の調査結果でも年代別で見ると、もしかすると10代の関心は増加しているかもしれません。いずれにしても、この教育を継続していくことが重要だと思います。」と、小倉氏と同様に、学校教育の重要性も述べられました。

 

 

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会 大日方邦子理事

障がい者によるイメージ尺度については、世界の人口の15%が障がいを持っているとも言われていることを踏まえて大日方氏は「まず15%という数値は固定化される数値ではないです。誰もが複数のアイデンティティーを持っていて、自分がマジョリティーになる瞬間もあれば、マイノリティーになる瞬間もある。15%の人が常に不便さを感じているわけではないです。例えば、眼鏡をかけている人や、ベビーカーで街を歩いた時、初めて不便さを感じるなど、自分ごととして考えられた時に、共感や寄り添う気持ちが生まれるのだと思います。」と、お話しされました。
また「パラリンピアンは感動を与えてくれる存在と見なすことは共生社会の実現にとって良いことか」という問いに対しては、「パラリンピアンに関わらず、スポーツをする人がすごいのではなく、パラリンピアンの〇〇に感動するのであって、その何かが重要です。それが、感動を与える、または感動を分かち合える、共感する、に繋がるのだと思います。その点において、パラリンピアンは感動を与えてくれる存在だと捉えても良いと思いますが、パラリンピアンだからすごいということでは決してない、ということはしっかりお伝えしておきたいです。」とお話しされました。

パネリストの皆さんの、それぞれの専門性から見た熱い意見が交わされ、共生社会の実現に向け、手掛かりが得られたシンポジウムとなりました。

金杉社長(現 会長)挨拶の様子

金杉社長は閉会の挨拶にて「上智大学と弊社が共同で設立した多文化共生社会研究所は、オリンピック・パラリンピックを通じた共生社会を考察していくこと、そして障がい者や、災害による被災者、留学生など、あらゆる背景を持つ社会的弱者に焦点を当て、共生社会に資する学術的な調査・研究を行うことを目的としています。今回の調査結果を聞き、パラリンピックへの関心が意外と低いことや、実際にTV観戦した後も「感動を与えた」という指標への影響がそれほどではなかったということに、大変ショックを受けました。弊社としましては、全国の地方自治体と連携して、パラスポーツ体験会や所属アスリートによる講演会を年間140回ほど実施しておりますが、まだまだ我々の活動も足らず、理解を深めなければいけないと感じました。今後も多文化共生社会研究所をサポートさせていただくとともに、より一層スポーツ・パラスポーツ振興、また共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。」と、シンポジウムの感想と、今後に向けての決意を改めてお伝えしました。

 

AD Challenge Supportでは、今後もスポーツへの支援を、全社を挙げて取り組んでまいります!

 

 

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