競技開始わずか1年で車いすダンスの代表としてインチョン2014アジアパラ競技大会出場を果たすなど急成長を遂げている萬木信也選手に、車いすダンスの魅力と競技への情熱、そして今後の展望を語っていただきました!

Profile 萬木信也
まんぎ・しんや/1977年5月20日生まれ、37才。埼玉県出身。2013年夏に車いすダンスと出会う。2014年3月のスーパージャパンカップ3位、同7月北京で開催された2014国際パラリンピックアジア車いすダンスコンテストで2014インチョン アジアパラ競技大会の参加資格を獲得し、同競技大会へ出場。さらなる活躍が期待される車いすダンス界の新星。好きなジャンルはラテン。得意な技はウィリー。あいおいニッセイ同和損保社員。

車いすダンスを始めて、自分に自信が持てるようになった!

 車いすダンスを始めたのは、つい1年半前のことです。まだ始めて間もない自分が、昨年のアジアパラ代表に選ばれたり、こうしてインタビューを受けるなんて、正直言って何だかびっくりすることばかりです。まさに私の人生は、車いすダンスに出会って180度変わりました。人生だけではなく性格も、まるで別人のように変わったように感じています。

 車いすダンスに出会う前までは、人前で話すことが苦手、というよりも、人と話すこと自体が苦手でした。笑顔を作ったり、気持ちを表すこともできませんでしたね。そうは見えませんか?本当なんですよ!車いすダンスで音楽にのせて感情を表現するようになってからは、普段でも自分の気持ちを素直に表せるようになりました。最近は周囲の人にも「なんか変わったね」と言われます。一番びっくりしているのは、私自身!自分にはこんな一面があったんだって驚きもあります。

 車いすダンスの前は車いすテニスをしていました。でも、私は筋ジストロフィーのベッカー型という進行性の筋肉の難病で、使えば使うほど筋肉がなくなってしまうのです。車いすテニスをやっていた時は、あまりにもハードにトレーニングをしてしまい、自分で触っても分かるぐらい1週間でごっそりと筋肉がなくなってしまったことも…。医者からも「ガツガツやるスポーツはオススメできない」と言われてしまいました。それで自分の体に合っているスポーツはないかなって考えを巡らせてみたんです。

 その時に、音楽を聴きながらテニスの練習をすると、気持ちが乗って楽しく練習できたことを思い出したのです。車いすでも音楽に合わせて踊るようなことができないかなと思って、インターネットで調べてみたところ、車いすの女性デュオがヒップホップを踊っている動画や、上半身を鍛えた若者がブレイクダンスをしている動画などがたくさんありました。それはもう驚きでしたね。車いすごと腕で支えて逆立ちをしたりしてカッコいいんですよ!私は27歳から車いすの生活になったので、車いすに対するイメージがとても“狭かった”のです。でも、こうして調べていくうちに、その概念が払しょくされて、車いすの可能性を大きく考えられるようになりました。工夫すればもっと楽しいことが出来るのだと気付いたのです。