一つの課題をクリアしたら次の課題へ。終わりのない挑戦が楽しい!

チェアスキーの魅力は、滑る魅力、観る魅力、両方あると思います。滑る魅力としての一番の醍醐味は、時速100キロにもなるというスピードです。ダウンヒルでは時速100キロにもなりますので、それはもう、本当に怖いですよ、本番でも練習でもいちいち怖いですから(笑)。それからもう一つの魅力としては、アルペンには基本タイムとか標準タイムがないというところです。山も違えば、天候も違います。その日のその時の自然との闘いが勝負ですので、記録更新や自己ベストを目指すというよりも、どれだけ自分の納得のいく滑りをできるかが勝負だというところが面白いと思います。当然、自分の納得のいく滑りができた時は、やはり記録も良いですし、滑り終わった時の達成感も格別です。

一つの課題がクリアできると、「今度はあれを頑張ってみよう」と次から次へ新しい課題を見つけることができます。終わりのない挑戦が自分には楽しく感じられます。え、前向きな性格ですか? いえいえ、そんなことないです。ネガティブ人間ですし、スタート前はいつもガチガチに緊張しちゃいます。口角を上げていた方が脳に良いと聞いたので、スタートラインで口角を上げていたら、それがカメラで抜かれていてスクリーンに映ったことがあったのです。それを見た人たちは「桃佳、笑ってるよ、余裕だな」と言っていたようなのですが、とんでもないです! そんな余裕があるわけありません。緊張してどうしようもないので、笑っていたのではなく、ただ口角を上げてみただけなのですよ(笑)。でも、やっていて楽しいと思えますし、応援してくださる人がたくさんいるので心強いです。そして、そんな皆さんの期待に応えたいという思いで滑っています。

チェアスキーを含めて、障がい者スポーツそのものが、健常者スポーツと同様に見ていて楽しめるトップスポーツだと思っています。実際に見ていただければすごい迫力ですし、面白いはず。でも、なかなか見ていただける機会がないので、こうしてメディアに出てコツコツと知名度を上げていくしかないのかなと思っています。私が世界レベルの大会に出場したことにより、高校の同級生や、近所の方など、いろいろな人がそれを見てくださいました。身近なところではありますが、一人でも興味を持ってくださっただけでも、私がスポーツをやっている意味があるのかなと感じています。今後、もっともっと障がい者スポーツの知名度が上がり、ファンが増えたら嬉しいなと強く願っています。