当社は、2015年度より新入社員研修に「障がい者スポーツ支援講座」を実施しています。
今年度は、4月10日の小田原研修所(神奈川)、11日の御殿場研修所(静岡)、12日の中央研修所(東京)の3か所で550名の新入社員が受講しました。
今回の講座では、障がい者スポーツの魅力、当社が行っている支援の取組みや所属選手の紹介をしました。4月の講座では、「障がい者スポーツを知る」ことを主な狙いとし、会社として支援している障がい者スポーツへの理解を深めました。5月以降には、実際に会場で大会を“観て”、“感じる”ことを体感し、自身のモチベーションアップや意識変革に資する活動を計画しています。
松元選手の手話講座
小田原研修所・御殿場研修所では、松元 卓巳選手(デフサッカー/福岡支店)が登壇し、「聴覚障害について」「アスリートとしての会社との関わり」「デフリンピックについて」をお話ししました。
聴覚障がい者との接し方について、「補聴器をつけていても100%は聞き取れていないこともある。電話は難しい。私たちは、口の動きも読み(口話)、推測しながら相手の話を理解しているので、マスクなどで口元が見えなくて困ったこともある。聴覚障がい者と接するときは正面から口元が見えるように話してくださるとわかりやすいです」と話し、聴覚障がい者とのコミュニケーションの一つとして、簡単な手話講座を行いました。
また、11月までの宿題に触れ、「是非、障がい者スポーツの大会の観戦やボランティアに参加してほしい。私も当社に入社して他の選手の応援や大会ボランティアにも参加している。仲間の活躍は自分自身にも刺激になる。ボランティアに参加し、様々な障がいを持った方々に接することで心のバリアがなくなっていく」と話し、競技者として「今年のデフリンピックにサッカー日本代表として出場します。会社の代表として、日本の代表として誇りを持って戦いたい。応援よろしくお願いします。会社の一員として皆さんとともに成長していきたい。お互い頑張っていきましょう!」と呼びかけました。
同期に向けて・・・
中央研修所での所属選手の紹介では、研修を受講していた石橋 元気選手(視覚障がい柔道/人事部)・成宮 唯選手(女子サッカー/千葉支店)が登壇し、同期へのメッセージを伝えました。
石橋選手は柔道を始めたきっかけ、自身の病気について
「皆さん、親指と人差し指で丸を作って自分の目に当ててみてください。それが僕の視野です。小学2年生の時に、徐々に視野が狭くなる網膜色素変性症と診断され、両親が、いずれ視力を失うかもしれない進行性の病気に負けない心を作ろうと、柔道教室に通わせてくれた」と話ました。
「高校の時、著しく視力が低下したこともあり、3年の進路相談で、両親から『今後のことを考えて大学ではなく、視覚障がい者の特別支援学校へ進ませたい』と言われた。当時、機械科にいた僕は、自動車を作る仕事をしたいとか、色々やりたいことがあった。小中高と健常者と同じ学校に通っていた僕にとって、自分が障がい者と認めることができなかった」と当時を振り返りました。
「支援学校には、パラリンピック女子柔道の監督をしている先生がいて、初めて視覚障がい者柔道というものを知った。初めて出場した大会では、たまたま運が良くて優勝してしまった。次の大会でもまた優勝してしまった。多分運が良かっただけなのですが・・・」と照れ臭そうに話す石橋選手に会場から和やかな笑いが。そして、
「視覚障がい柔道を始めて1年で海外遠征にもいくことができた。その時、自分を苦しめた障がいが、世界に舞台に連れてきてくれたと障がいを受け入れられる気持ちになった。ただ、世界では20位なのでまだまだ上がいる。障がいがある事実が変わらないなら、受け入れて、そしてパラリンピックでメダルを獲って『視覚障がい者でよかった』と思える自分になりたい。その時、本当の意味で自分の障がいを受け入れられると思う」と話すと、同期から大きな拍手が送られました。
成宮選手は、女子サッカーの現状と今後の抱負を話しました。
「12歳から親元を離れ、サッカー漬けの毎日を送ってきた。女子サッカー選手はJリーグの男子選手と違い、それぞれが働きながら経済的な基盤を確保している状況。私も皆さんと同じように仕事も、そして競技も全力でやっていきたい。競技では、結果を出すことで皆さんに恩返しができるよう頑張ります。応援よろしくお願いします」
同期から温かい拍手が送られました。
今回、社員選手の話に触れたことで、障がい者スポーツをより身近に感じられたと思います。
当社は、障がい者スポーツ支援講座を通して、社会人として、また、一人の人間として、多様性を受け入れ、共生社会の形成に貢献できる人財に成長してほしいと思っています。